
最近、心温まる食事をとれていますか?
今回は、気持ちがほっこりする小説をご紹介します。
仕事や人間関係に疲れ、毎日を必死に過ごしていると、自分はどこに向かい何を大切に生きているのかわからなくなってしまうことがありますよね。
そして、自分の体や生活を犠牲にしてまで日々をこなすことに必死になってしまう。
この小説は、街の片隅で深夜にひっそりと営業している「キッチン常夜灯」につどう人々とシェフの温かい料理を通し、主人公が自分の人生に向き合っていく物語です。
読み終わった後は、愛情たっぷりの美味しい料理が食べたくなること間違いなしです。
『キッチン常夜灯』概要
【著者】
長月 天音
【こんな人におすすめ】
*頑張りすぎて疲れている人
*ほっこりした気持ちになりたい人
*最近、食事がおざなりになっている人
【著者のその他の作品】
『キッチン常夜灯』内容
住宅街の片隅に佇む小さなビストロ、今宵もオープン。
街の路地裏で夜から朝にかけてオープンする“キッチン常夜灯”。チェーン系レストラン店長のみもざにとって、昼間の戦闘モードをオフにし、素の自分に戻れる大切な場所だ。店の常連になってから不眠症も怖くない。農夫風ポタージュ、赤ワインと楽しむシャルキュトリー、ご褒美の仔羊料理、アップルパイなど心から食べたい物だけ味わう至福の時間。寡黙なシェフが作る一皿は、疲れた心をほぐして、明日への元気をくれる――共感と美味しさ溢れる温かな物語。
『キッチン常夜灯』長月天音著、KADOKAWA、(2023/9/22)
この本『キッチン常夜灯』をひと言でまとめると、
ポイント
疲れ切ってしまった時。人生に迷った時。
温かな食事と人々とのつながりを通して自分にとって大切なものを見つめ直すきっかけになる本
です。

仕事に疲れ果てる主人公
主人公みもざは、チェーン系のレストラン店長を務めています。
望んでもいなかった店長を任され、毎日長時間の業務や従業員の管理、クレーム対応などに追われる日々。
「自分が頑張らなくては」と日々奮闘するも、効率ばかりが重視される激務な仕事に徐々に疲弊していき、不眠症にもなってしまいます。

キッチン常夜灯との出逢い
そんな時、とあるきっかけでみもざは深夜に営業しているビストロ「キッチン常夜灯」と出逢います。
みもざを温かく迎えてくれるシェフやソムリエ。
店に集う常連客たち。
そしてグラタン、コンソメスープ、子羊料理など、シェフの作る愛情たっぷりの美味しい料理の数々。
仕事と家の往復が生活のすべてだったみもざにとって、自分が自分に帰れる新たな居場所が見つかったのでした。

みもざの変化
「キッチン常夜灯」に通ううちに、みもざの心境にも大きな変化が生まれます。
みもざは、チェーン系レストランの店長として激務かつ効率ばかりを重視した仕事にやりがいを見失っていました。
そんな中で、キッチン常夜灯の心のこもった料理や接客に触れるうち、自分自身の仕事の意味を振り返り、みもざなりのやりがいを見つけていきます。
また、うまくいっていなかった従業員との関わり方も工夫し、ただただ重圧だった店長という仕事に目標を見出すようになりました。
自分を犠牲にして疲れ果て、ボロボロになったていたみもざは、キッチン常夜灯に通う中で「自分を大切にすること」の重要性に気付き、その感覚を取り戻すことができたのです。

感想
余裕がない時や疲れている時。
つい食事がおざなりになってしまうことが私もよくあります。
・お腹を満たせればいい。
・とにかく手っ取り早く済ましたい。
こんな風に無意識に自分の生活や心身を犠牲にしてまで、私たちはいったいどこに進んでいるのでしょうか。
仕事や人間関係に疲れ、自分の大切なものが見えなくなってしまった時は、
いったん立ち止まり美味しい食事と温かな人の輪に入ってみるのも良いかもしれません。
鎧でガチガチになってしまった心がじんわりとほどけていくこと間違いなしです。
心が奥の方から温かくなり、愛情のこもった美味しい料理が食べたくなる。
そんな素敵な小説でした。
こんなお店が近所にあったら、確実に常連になってしまいますね。

まとめ
毎日、必死に頑張りすぎて疲れている方におススメの1冊でした。
時には立ち止まること、自分を癒すこと、自分を見つめ直す時間を持つことはとても大切ですね。
少し前向きに進んでみようと思える温かな物語に触れ、
ゆったりとした時間を過ごしてみるのはいかがでしょうか。