読書・書評

『ヤノマミ』あらすじ&感想

モエコ

アマゾンに暮らす「ヤノマミ族」ってご存じですか?

日本で生まれ生活していると、環境や考え方、風習に対して「これが普通」「これが当たり前」という感覚に陥ります。

でも「普通」とはなんなのでしょう。

自分の周囲の文化が全てなのでしょうか。

もし今の環境に違和感を感じているとして、それは合わせられないあなたのせいなのでしょうか。


今回は、そんな凝り固まった価値観を壊してくれる1冊をご紹介します。

モエコ

本日ご紹介する本はこちら!

ヤノマミ

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『ヤノマミ』概要

【著者】
 国分 拓

【こんな人におすすめ】
*アマゾン先住民族の文化に興味がある人
*自分の価値観がひっくり返る機会が欲しい人

【関連商品】
 ヤノマミ族に関するDVDも発売されています。
 映像でご覧になりたい方はこちらをご参照ください。

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『ヤノマミ』内容

地上の死は死ではない――。アマゾンで原初の暮らしを営む先住民「ヤノマミ」。
150日間寝食を共にした驚愕の記録。大宅ノンフィクション賞受賞作。


150日間、僕たちは深い森の中で、ひたすら耳を澄ました──。広大なアマゾンで、今なお原初の暮らしを営むヤノマミ族。目が眩むほどの蝶が群れ、毒蛇が潜み、夜は漆黒の闇に包まれる森で、ともに暮らした著者が見たものは……。
出産直後、母親たったひとりに委ねられる赤子の生死、死後は虫になるという死生観。人知を超えた精神世界に肉薄した、大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。

引用: 引用元 『ヤノマミ』国分拓著、新潮文庫出版(平成25年11月1日)

この『ヤノマミ』を一言でまとめると、

ポイント

アマゾンに暮らすヤノマミ族の文化と精神世界を学べる本

です。

筆者の国分拓さんは、NHKディレクターとして数々の番組を手掛け、『ヤノマミ』で2010年石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞、2011年大宅壮一ノンフィクション賞を受賞されています。

『ヤノマミ』は、国分さんがアマゾンの先住民ヤノマミ族と150日間共に暮らし、そこでの生活を綴ったノンフィクション作品となっています。

 

感想

私は元々、世界の民族文化に興味があり、よくドキュメンタリーを見たり本を読んだりしていました。

が!!!

このヤノマミ族の風習や考え方には本当に驚きました。

ヤノマミ族の出産

様々なエピソードが紹介されていますが、1番衝撃を受けたのが出産についての考え方でした。

ヤノマミにとって、産まれたばかりの子どもは人間ではなく精霊なのだという。精霊として産まれてきた子どもは、母親に抱きあげられることによって初めて人間となる。だから、母親は決めねばならない。精霊として産まれた子どもを人間として迎え入れるのか、それとも、精霊のまま天に返すのか。

引用元 『ヤノマミ』国分拓著、新潮文庫出版(平成25年11月1日)

ヤノマミ族は精霊を信仰しており、出産直後の子ども対してこのような考え方を持っています。

出産は森の中で女性たちの手によって行われますが、「人間として迎える」か「精霊のまま天に返すか」は母親一人で決めなければなりません。

人間として迎える選択が取られた場合は良いのですが、天に返すことになった場合はどうなるのでしょう…。

その場合、母親が嬰児を殺め、亡骸は白蟻の巣に納められます。
白蟻は嬰児の体を全て食い尽くします。
その後数週間して、白蟻の巣に火を放つ。
これが子を精霊として天に返す儀式だそうです。


このエピソードを読んだとき、私には全く理解ができず、なんでこんなに残酷なことをするのだろうと驚きました。

大多数の人は理解ができない感覚だと思います。

私は子どもをもつ母でもあるため、産んだばかりのわが子を殺して白蟻の巣に入れるなんて全く考えられないし、自分が発狂してしまうなぁとゾッとしました。

ただ一方でこんな風にも感じました。

ヤノマミ族にとっては、これが当たり前なんだと。

私は日本で培った価値観の中に住んでいます。その枠組みの中が自分の思考の幅であり、その立場からしか物事を考えられていない。

ただ、世界は広い。

ところ変われば文化も価値観も何もかも違う。

良いか悪いかは別ですし、自分の価値観と合うかどうかも別問題。

でも、様々な文化や考え方を知り、理解しようと努める姿勢が大切だと感じました。

「地上の死は死ではない。
 私たちも死ねば精霊となり、天で生きる。
 だが、精霊にも寿命がある。
 男は最後に蟻や蠅となって地上に戻る。
 女は最後にノミやダニになり地上に戻る。
 地上で生き、天で精霊として生き、最後に虫となって消える。
 それが、定めなのだ」

引用元 『ヤノマミ』国分拓著、新潮文庫出版(平成25年11月1日)

まとめ

「異文化理解」と一言でいうにはあまりにも衝撃的な一冊でした。

でもそれがヤノマミ族の文化なんですね。

自分の価値観が凝り固まってしまっていると感じている方。

世界には多様な価値観があります。

『ヤノマミ』を通し、日本とは全く異なる文化をのぞいてみませんか?

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